エグジーの新たな旅の始まり

「前作『キングスマン』は、続編が作れるように計画した」とヴォーンは語る。「前作の監督を大いに楽しんだから、続編を作りたいと思ってはいた。しかし、続編を作るということは、一筋縄ではいかないものだ。観客は前作を気に入ってくれたが、同じことをやったら退屈だし、独創性に欠けてしまう。」と話す。
ヴォーンは第一作目に匹敵する、もしくはそれを超えるような『ゴッドファーザーPARTⅡ』や『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』などをイメージしたようだ。「私は、ストーリーが継続されている続編が好きだ。数本のシリーズで旅をする映画のキャラクターとして、ルーク・スカイウォーカーは最高の例だと思う。『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』では、ヒーローなのに本当のヒーローではないという感じがする。なぜなら、まだ戦いが続いているからだ。その要素を本作のなかでも描こうと考えたんだ。」
エガートンは、『キングスマン』で主役を演じるのはもちろん初めてであり、映画のセットに足を踏み入れたのも初めてだった。それ以降、『SING/シング』(16)で、歌声を披露するなど様々な作品に出演して力をつけている。それでも、彼は自分のスタートとなった役を再び演じられることに喜んだ。「続編は初めての経験だけど、マシューが監督だし、やっかいだとは思わなかった。エグジーは自分の一部のような気がしているんだ」とエガートンは語っている。
本作でのエグジーは、キングスマンになって2年近く経っているとはいえ、ヴォーンもエガートンも完璧なキャラクターにする気はまったくなかった。それゆえ、ストリートあがりの生意気な青年という要素は残された。「荒削りなところは残っているし、彼は今でも失敗する。下水溝を抜けて逃亡し、クソまみれで出て来なければならない。それがハリーではなく、エグジーの姿なんだ。アディダスのジャージ姿が普段の彼だからね」とエガートンは説明する。
ヴォーンは、エグジーとキングスマン、さらにステイツマンが新たな冒険に挑むシリーズ第三弾の構想もあると話す。「すばらしいアイディアがある。本作では第三弾で起こることの種まきもしているんだ。すべてが一体となる。まったく新たな世界を期待してほしい。」

間違ったアメリカの恋人―魅力あふれる悪役の誕生

ヴォーンは、悪役の陰謀が非常に重要だと考えていた。「悪役のことは心配だった。愚かにならず、共感を呼び、本物と思えるような悪役の陰謀を考え出すのはとても大変だ。」第一作でヴァレンタインが企んだ、世界の人口を激減させ、環境への負担を軽減するという計画は、狡猾ながら、漠然とした善意から生まれたものだった。「彼の陰謀は意味が通ったものだった。つまり、現在進行形の環境問題を解決するためのものだったからだ。今回のポピーの陰謀についても、人々が議論することは間違いないと思っている。彼女は正しいか?間違っているか?彼女が望んでいることは筋が通っているが、そのやり方は適切ではない」とヴォーンは語っている。
このポピー役のオファーは、以前に共演したことのあるコリン・ファースを通じてジュリアン・ムーアに届いた。「前作はとても気に入ったわ。すごく革新的でユーモラスだと思ったの」と彼女は話す。母国への夢にしがみついているポピーは、カンボジアにある遺跡を占領し、膨大な資金でポピー・ランドを造り出した。隠れ家兼テーマパークでもあるそこは、美容室からボーリング場、コンサートホール、ピカピカで邪悪なミンチ・マシーンが置かれた豪華な食堂など、アメリカ的なものを備えている。「彼女はアメリカのポップ・カルチャーが好きなのに、帰れなくて寂しい思いをしているの。そこにあるものはどれも、彼女が故郷にいたいと思う気持ちを満たすためのものよ」とムーアは語っている。

キングスマンとステイツマンの文化の衝突

「エグジーは外へ出て、翼を広げ、知らない世界に出会わなければならなくなる」ヴォーンがキングスマン壊滅で始まる衝撃のオープニングについて説明する。
攻撃されたあと、エグジーは生き残ったマーリンと共にケンタッキーへ向かい、キングスマン以外にも国際的な諜報機関があることを知る。豊富な資金を備えた、いかにもアメリカ的な機関“ステイツマン”だ。
「彼らはキングスマンに匹敵するアメリカの機関で、両者は協力しなければならない」ヴォーンが説明する。「アメリカとイギリスは同じ言語を使うが、文化的には大きく違っている。この特別な関係を扱ってみたかった。前作で人々が気に入ったのは、ハリーとエグジーの異質な世界がぶつかり合う部分だった。アメリカ文化とイギリス文化の衝突で、その点を継続したいと思った。」スタイルと高度な素養が肝心なキングスマンに対し、ステイツマンはアメリカ的なものを大切にする。「私は子供の時にはカウボーイ映画が大好きだった。カウボーイはものすごくクールなキャラクターだと思い、アメリカらしいもので楽しみたいと思った。第一作で傘を使ったアクションがあったように、本作では、投げ縄を使ったアクションを作った。彼らには、とんでもなくクールな鞭と十二連発に改造した銃を持たせたんだ。」とヴォーンは語る。キングスマンが、控え目で上品な組織にふさわしい表向きとしてサヴィル・ロウのテーラーを本拠地としているのに対し、ステイツマンの本部はまったく違った、ずっと巨大で活気のあるもの、ケンタッキー州のど真ん中にある巨大なウイスキー蒸溜所だ。そこは、プロダクションデザイナーのダーレン・ギルフォードにとって、もう一つの大きなチャレンジとなった。「マシューは方向性として間違いなく、アメリカ的な感覚を望んでいた。まず南部の文化についてのリサーチから始めた。ステイツマンに関しては、すべてそこを出発点にした。蒸溜所の地上部分にはスパイ機関らしきものは一切ない。でも、地下では、バーボン文化をスパイのラボに取り入れたんだ。」とギルフォードが語る。
ステイツマンの個性的なスタイルを作る上では、ヴォーンは衣裳デザイナーのアリアン・フィリップスと綿密に打ち合わせた。「典型的なアメリカらしさについて考えたの」と彼女が言う。「デニムはすぐに思いつくし、カウボーイ・ブーツもそうね。暴れん坊のカウボーイにはアメリカ的な感じがあるけれど、キングスマンの仕立服に似たところもある。生地は違うけれど、この2つの世界を結ぶ微妙なつながりに気づくはずよ。」

さらなる新たなアクションを求めて

大胆不敵な登場人物やユーモアと同様に、アクションが『キングスマン』シリーズと他の作品との違いを生み出している。前作では、教会での殺戮シーンや、ヴァレンタインの基地での最後の闘いまで、ヴォーンと第二班ディレクターのブラッド・アランは動的で推進力のある爽快なアクションを作り上げた。ヴォーンは、今回のチャレンジは、それらを単に繰り返さないことだったと認めている。「普通とは違うアクションになっている」彼が言う。「頭を吹っ飛ばすシーンはない。ストーリーの流れであのシーンは作られ、イカレた映像だったせいで人々は楽しんでくれたが、元になったのはストーリーだった。今回もクレイジーでクールなアクション・シーンになっているところはいくつもあるが、私がやろうとしていることは、どれも必然性があるんだ。」
本作では、エグジーがロンドンを疾走するタクシーの中で命がけの戦いを繰り広げるオープニングのカーアクションから、全編を通じてキングスマン特有のクレージーぶりを余すことなく見せている。「ファイトはさらにクレイジーなものになった」とエガートンが語る。「でも、アクションに関しては、マシューは違うことをやろうとしている。本作には、あの興奮を呼ぶ長回しっぽい感じのシークエンスもあるが、監督はむしろ先へ進んで、何か新しいものを見つけようとしているんだ。」

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