1937年、イギリス・サウスシールズ生まれ。ウエスト・ハートブール美術大学とロイヤル・カレッジ・オブ・アートでグラフィック・デザインなどを学んだのちにBBCに入社し、TVドラマの演出を手がける。退社後、弟のトニー・スコットとともにCF製作会社RSAを設立。同社で演出した革新的なCFで数多くの賞に輝き、映画界に進出した。
カンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞した歴史劇『デュエリスト/決闘者』(77)で長編デビューを飾り、人類と恐るべき宇宙生物の遭遇を描いた監督第2作『エイリアン』(79)で世界的な成功を収める。ハリウッドに拠点を移した後も、SF映画史上の金字塔『ブレードランナー』(82)を始め、『レジェンド/光と闇の伝説』(85)、『誰かに見られてる』(87)、『ブラック・レイン』(89)、『1492・コロンブス』(92)、『白い嵐』(96)、『G.I.ジェーン』(97)、『ハンニバル』(01)、『マッチスティック・メン』(03)、『キングダム・オブ・ヘブン』(05)、『プロヴァンスの贈りもの』(06)、『アメリカン・ギャングスター』(07)、『ワールド・オブ・ライズ』(08)、『ロビン・フッド』(10)といった多彩なジャンルの話題作を発表。ふたりの女性の逃避行を描いたロードムービー『テルマ&ルイーズ』(91)、古代ローマを舞台にしたスペクタクル活劇『グラディエーター』(00)、ソマリアでの実話に基づく戦争映画『ブラックホーク・ダウン』(01)の3作品でアカデミー監督賞にノミネートされた。近年も『プロメテウス』(12)、『悪の法則』(13)、『エクソダス:神と王』(14)、『オデッセイ』(15)といった大作を発表し、健在ぶりを示している。来る10月公開の『ブレードランナー 2049』(17)には製作総指揮で、12月公開の『オリエント急行殺人事件』にはプロデューサーとして携わっている。

スコットは知的かつ洗練されたストーリーによって、観客に衝撃を与える術を心得ている監督だ。彼が1979年に手がけたオリジナルの『エイリアン』は、SFスリラー・ジャンルの基礎を築いた作品としていまだに地位を保持している。これは宇宙船ノストロモ号の乗組員を襲う凶悪なクリーチャーを描き、無駄のない効果的な緊張感と閉所恐怖的な居心地の悪さで観客を震え上がらせた作品だった。スコット監督が語る。「奇妙な意味で、私は『エイリアン』をとてもよくできたB級映画として考えていた。作品の根底にあるのは、かなり基本的なものだった。つまり7人の人々が古くて暗い家に閉じ込められ、誰が最初に死ぬか、誰が生き残るかという話だ」
 スコットが本作で狙ったのは、より大きな“エイリアンの神話”に豊かで深い層を加える新たな洞察を働かせるとともに、常に危険と恐怖がつきまとう不吉な雰囲気を再現することだった。このアプローチは、ストーリーテリングを新鮮で驚きに満ちたものにするために必要だったと彼は語る。「いつまでもモンスターに廊下で追いかけられるシーンを続けることはできない。退屈してしまうからね。誰がエイリアンを作り、どうして作ったのか、今まで誰も疑問に思わなかったことに私は気がついた。宇宙の彼方から来たモンスターとか、宇宙の果てから来た神、または宇宙のエンジニアがヤツを作り出したと言ってもよかったかもしれない。でも、誰もそうしなかった。この映画はそういった考えをくるりと方向転換させるんだ」
  そしてスコット監督は、本作で映像化した情け容赦なしの衝撃について次のように語る。「本作が観客を不安な気持ちにさせればいいと思っている。脈が速くなり、心臓がドキドキと高鳴るようになればいい。そして観客には、喉がカラカラに乾きながらもスクリーンから目を離せなくなってほしい。人を震えるほど怖がらせるのは容易なことではないが、エイリアンが悪夢を見させるかもしれない。そうなれば望ましいと思っているよ」

 本作でデビューを果たす危険な生物形態、ネオモーフに関する要求を考え出したのもリドリー・スコットだった。ネオモーフは、エイリアンの卵、チェストバスター、フェイスハガー、そして成長したゼノモーフとともに劇中に登場する。監督はこの新たなエイリアンのデザインに関して、スイス人の超現実主義者H・R・ギーガーが生んだ恐ろしくも独特なゼノモーフと、半透明の皮膚と蝶番で連結されたような顎を持った珍しい深海のプレデター、気味の悪いミツクリザメのような自然が生んだ驚異を参考にした。
  スコットが語る。「ネオモーフのデザインは大きな課題だった。お決まりのもの以上の何かを追加しなければならなかったからだ。飽きられないものにしたかったし、ずっと残るものにしたいと思った。」
ネオモーフの姿や動きを描いたスコットのイラストを元に、クリーチャー・デザインのスーパーバイザー、コナー・オサリヴァンと彼のチームは、デザインに関してチャーリー・ヘンリーの視覚効果部と協力した。ヘンリーが語る。「コナーと彼のチームが選んだものは素晴らしい見かけだった。本物の血と機能性を備えた実際のクリーチャーだった。我々の仕事はたいていの場合、エンハンスさせるだけだ。クリーチャーの動きが多いときには筋肉の動きを作り出し、実際にはできない形でそれを動かす。これは、できるだけリアリズムを取り入れるための共同作業だった」
キャストもオサリヴァンらの正確な職人芸に感銘を受けた。カルメン・イジョゴが語る。「エイリアンはすぐ近くで見るまで気づかないほど精巧に作られていたわ。そんなところまで手をかけようとする彼らの意欲が素晴らしかった。あれは、レガシーとこのアート形式の可能性に対しての献身的な行為だった。最高レベルの芸術的手腕だったわ」